今月は先月に引き続き建造物、そして草地、畑および樹木の製作についてご説明します。 A. 建造物の製作 1.跨線橋
模型の構造は、まず線路上に架かる跨線橋本体の部分は構造材として 側面下部に1x2mmの洋銀製チャンネルを使用し、縦の柱は1.5mmおよび1mmの洋銀製角材で、 また窓部分下部は1x1mm、上部は2x2mmのアングルを使用し、それぞれを半田付けで組み立てました。 側面腰板部にあるX字の補強材は0.8x0.8mmのアングルおよび帯材を半田付けしました。 組み上がった二枚の側面は左右を1mmの角材で柱ごとに繋いで箱状にします。 屋根は強度を必要としないので木製の3mm角材を軸にエコーモデルの真鍮製波板を張り、 屋根全体は塗装時のことを考慮し取り外し可能としました。 階段室は上下部の構造材および柱は1.5mmの洋銀製角材を、 窓枠は1mmの角材を半田で組み立てた後左右側面を繋ぎ箱状にします。 この部分は垂直に固定する部分が少ないので、歪みなく組み立てるのに神経を使います。 階段部分は3mmの木製角材を階段状に並べ、屋根は本体同様波板を貼り付けました。 階段室の下部には所謂稲妻型の補強材が入っていますので、 実物とは多少形態が異なりますがプラスティック製のそれらしいものを接着してあります。 骨組みはできるだけスケールを重視し、細い材料を使用したので強度的にはやや不安がありますが、 取り扱いに気をつければ問題はないようです。 木製の腰板部はボール紙にエコーモデル製のSTウッドを張ったものです。 ここまでは比較的順調に作業が進められましたが、 独特の形状をした8本の鋳鉄製の橋脚は装飾や上部のテーパーのついた円筒部分があり、 この複雑な形状のものを8本製作するのは気が重く、どうしたものかと思案していたところ、 運よくモデルワークス社から跨線橋のキットが発売され、 その橋脚がそのまま使えそうなので多少高価でしたが購入して利用しました。 この橋脚はホワイトメタル製で少し高さが高かったため上部を切断し、 橋脚間にX字に補強の線材を入れ接着剤で組み立てました。なお運搬時のことを考え、
塗装は軽井沢駅の跨線橋のカラー写真がなく、また記憶も定かでないため、 とりあえず側面は横川駅の跨線橋の末期の色であるクリーム色(横須賀線のクリーム色) をスプレーで吹きつけ、スレート屋根の波板部分はストーン調塗料で着色しました。 まだウェザリングしておらず線路など周囲の景色から浮き上がって見えますが、 そのうち汚すつもりです。 |
2.給水塔
模型は珊瑚模型店製の煉瓦造りの給水塔をほとんどそのまま組み立てたものです。 実物に比べて煉瓦積みの部分の高さが高く、タンク部分が小さ目となっている他、 スケールの点からは煉瓦1つ1つがやや大き過ぎますが、全体の形態が良いので代用しています。 組み立ては強度をあまり考える必要がないので、エッチング板、 ホワイトメタル製の部品を主にエポキシ樹脂の接着剤で組み、半田付けは使っていません。 塗装は屋根とタンク部分は艶消しの濃い緑色のエナメル系塗料の手塗り、 煉瓦積みの部分は赤・黒・錆色等を適当に混ぜた完全艶消しのアクリル塗料を手塗りした後、 水で湿らせた指先にタルカム・パウダーをつけて目地部分に塗り込み、 煉瓦積みがノッペリとならないようにしてみました。最後に全体を汚してあります。 |
3.カルヴァートなど
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B. 草地・畑・樹木の製作 1.草地
散布に当っては、あまり大きな面積を一度に撒くと作業が雑になりそうなので、 10cm平方ぐらいずつの単位で作業を行いました。 まず着色済みの地表に1:1くらいの割合で溶いたボンドの水溶液を刷毛で塗り、 その上に混合済の草を撒きます。 この際あまりきちんと撒くとのっぺりとした平板な感じになってしまいますので、 場所によっては土の部分が見えるようにしたり、所によっては少し盛り上げたりし変化を付けました。 散布が終わりましたら、鶴口に入れたボンドの水溶液を上から垂らし固着しますが、 水溶液は少なめにし、押さえつけても草が弾力で戻って来る程度にしておきます。 未舗装の道路や犬走り等の地面が直接見える部分と草地の境目は、 ターフの「緑色ブレンド」を撒き草地が突如始まるような違和感を抑えました。 更に場所により緑色等のフォーリッジクラスターで高さをつけることにより、 こんもりしたブッシュを表現してみました。未舗装道路の車輪に踏まれない中央部分は蒔絵の要領で、 草のある部分に細い筆でボンドの水溶液を塗り、 ターフを適当に撒いて乾燥後吹き飛ばすと中央部のみ草が残ります。 この程度の大きさのレイアウトになりますと草を撒くだけでもかなり時間がかかりますが、 土色1色のレイアウトに緑が加わると急にレイアウトが生き生き見えてくるのは不思議です。 |
2.畑 このレイアウトには水田はありませんが、以前に書きました通り畑をたくさん作ってしまいました。 畑の周囲の畦道は主に4mm厚のコルクで表現し、畑の畝は3mmの竹ひごを使って形作り、 紙粘土で形を整えた上、地表を作る時と同じ要領でボンドの水溶液を刷毛で塗り、 プラスターの粉を茶漉しで撒きました。畦道は通常乾燥しているのでバフとフラットアースで、 畝は湿っていますのでフラットブラウン等で着色、あとは作物を植えるだけとなっています。 軽井沢周辺は何といっても高原キャベツやトウモロコシが主な作物です。 昭和30年代はまだレタスはあまり栽培されていなかったように思います。 実はこの連載を始めた時には、 畑の製作法が掲載される予定の今頃までには既に作物が植わっている予定でしたが、 キャベツもトウモロコシもいざ作る段になると異常な数を作らなければならないこともあり、 大量生産の良い製作法が思いつかず、未だに何も生えていません。 どなたか良い製作法をご存知の方が有りましたら是非ご教示下さい。 |
3.樹木
(2005年6月 M.F) |