1.地形の製作
前述の通り、このレイアウトは矢ヶ崎信号所から軽井沢駅を経て中軽井沢駅辺りまでを
題材としていますので、基本的には平坦な地形となります。アブト時代の実物では、
碓氷峠を登り終わってレンガ造りの矢ヶ崎変電所脇の信号所から複線となり、
地形に沿ってわずかな下り勾配で軽井沢駅に向かいます。
昭和30年代のこの辺りは民家も少なく寂しい所でしたが、碓氷の26個のトンネルを抜けた後で、
右手には雄大な浅間山が聳え、闇に慣れた眼には大変開けた風景に見えました。
軽井沢駅を出て直ぐに二十間道路(今のプリンス通り)の踏切を渡ると、
平坦な線路からは左手に木々の間を通して晴山ゴルフ場が見え、
右手には10〜20mの林越しに舗装されて間もない国道18号線に僅かな車が走っていました。
この辺りからは右手に離山という小山があるため浅間山は暫く姿を消し、
左右の落葉松の林の中に点在する古色蒼然たる別荘が見え隠れします。
林を抜けやや下り勾配になると同時に目の前が開け、高原特有のキャベツやレタス、
とうもろこしの畑を左に、再び姿を現した浅間山を右に見ながら中軽井沢駅の構内に入る手前で
湯川という川を渡ります。軽井沢は太平洋に出る川と、日本海に注ぐ川の分水嶺に当たりますので、
この辺りに大きな川は有りませんが、湯川は白糸の滝を水源の一つとし、この先千曲川、
信濃川と名前を変え最後は日本海に注ぎます。川幅は狭いのですが、
湯川には明治の時代からの石積の橋脚に載った4連のガーダー橋が架かっており、
現在でも上り線に使われています。中軽井沢駅に近づくと地元住民の住居や商店が増えてきます。
このレイアウトではこのような情景を念頭に置きつつ、駅部分以外のボード幅30cm、
駅構内及びカーブ部分のボード上の高さ30mm、
直線部分45mmを考慮しながら模型としての情景の変化を取り入れるべく、
1/20の図面上に大まかな地形を考えました。
基本的には線路の曲線や勾配は地形に左右されますので、それが不自然に見えることにならないよう、
逆の順序で地形を考える必要があります。
その際ボード上の高さの制限が地形を平坦なものにしがちなので、
直線ボードのうち一枚だけはボードを重ねる際45mm高の枠をかませることにより、
ボード上の高さ90mmを確保して、
ある程度の高さの丘を作って少しでも起伏ある地形を表現しようと試みました。
私はどうも貧乏性なのか、土地を無駄にしておくことを潜在的に避けてしまうようで、
人の手が入っていない所謂遊休地と呼ばれる場所は結局あまり残らず、
起伏のある部分以外は後でキャベツ、レタス、
とうもろこしなどの作物の模型を作る手間のことも考えず、
畑を多く作ってしまいました。本当はもう少し別荘等の建物を建てたり、
テニスコート等軽井沢らしいものも作ったりしたかったのですが、
それらを作るには土地が足りず断念しました。
地形の基本部分はできるだけ重量を軽減するため10mm、20mm、
30mm厚の発泡スチロールの板を使用し、大まかに切断してから木工ボンドで貼りかさね、
カッターナイフで整形しました。また畑や道など一部には余ったバルサ材やコルク材を使用しました。
なお地形が線路の路盤より高くなる部分は、路盤と地形の間に車体工作用方眼紙で、
幅4mm深さ4mm位の水路用の側溝を作りました。この側溝の製作は結構面倒なのですが、
実感的な線路を表現する上でのポイントだと思います。
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