トップナンバーアルバム

普通列車として、電鉄富山駅に到着したモハ16011+モハ16012のトップナンバー編成。
2015年11月15日 電鉄富山駅

モハ16011とユニットを組むモハ16012。折り返しで立山行きとなりました。
2015年11月15日 電鉄富山駅


 交流電化された北陸本線の普通列車は客車列車の天下でしたね。 しかし、583系の改造車や急行型電車が普通列車に投入され、 一気に客車が淘汰されてしまいました。 そうなると北陸地方にはなかなか足が向かず、 富山地鉄には未だに乗ったことがありません。 今月の友情出演は、私が不得意な富山地鉄の元西武特急をご覧ください。
(2020年11月 H・T)
 私は、富山にあこがれを持っています。両親は、東京と横浜の出身で、 今まで一度も住んだことはありませんが、小学生の時、富山へ出張に行った父が富山の郷土料理 「鱒寿司」お土産として買ってきてくれたことに起因していると思います。 曲物(わっぱ)を開けると、笹の葉で包み込まれた桜色のサクラマスと酢飯の押し寿司が現れ、 それを専用のプラスチックナイフで放射状に切り分け、 食べたことが「美味しい!」と記憶に強く残ったからです。
 そんな富山に、学生時代に初めて訪れ県内の鉄道に乗りまくりました。 富山地鉄には元名鉄の14710形が走っており写真を撮りましたが、 フィルムがビネガーシンドロームを発症し、泣く泣く廃棄した思い出もあります。
 個人的な思い出はさておき、富山地方鉄道の16010形を今回取り上げます。
 16010形は、老朽化した在来車の代替と冷房化率の向上を目的として、 西武鉄道から「レッドアロー」5000系5501編成、5507編成を1995年(平成7年)、 1996年(平成8年)に譲り受けたものです。富山地鉄では、1979年(昭和54年)に、 14760形を導入した以降、10020形などの冷房改造を進め、さらに京阪より3000系の車体を購入して、 旧型車を置き換えていました。総車両51両中47両が冷房化されました。 ちょうどその頃、西武で「レッドアロー」5000系が廃車となり、2扉クロスシート車で観光列車として、 また地鉄の輸送状況から通勤列車としても対応が可能でと判断されました。 ただし、すでに台車と主要機器を西武の「ニューレッドアロー」 10000系特急車に転用することが決定しており富山地鉄は車体のみ購入しました。 編成両端のクハ5500形と中間電動車モハ5050形計6両(3X2編成)が、 西武所沢工場から富山地鉄の南富山駅まで陸送されています。 車体到着後すぐに稲荷町工場(現稲荷町テクニカルセンター)に収容され、 改造・組立が施工されました。外観は、車販準備室とトイレは閉鎖されましたが、 あとは塗装を含め、西武時代の姿を保っています。 しかし下廻りの主要機器は他車種から調達しています。 主電動機、台車と主制御器はJR九州の485系、マスコンとブレーキ弁は京急1000形、 発電制動併用電磁直通ブレーキ本体装置は営団3000系、 コンプレッサーは東京都営地下鉄5000形の廃車発生品を流用し、 西武在籍当時はと全く仕様が異なる車両としてモハ16011形(Mc)+モハ16012形(M')+クハ110形が誕生しました。 そして、優等列車の「アルペン特急」「うなづき」から普通列車まで充当されています。 当初から第2編成は先頭車車端の車販準備室及びトイレは撤去され、 窓と吊革を新設し立ち席スペース化されていましたが、トップナンバーの第1編成も、同様の仕様となりなりました。 その後、利用客減少が続き、デッキ仕切りの縮小、料金箱設置などのワンマン化改造と編成の短縮化が行われました。 MM'のため、中間電動車モハ16012形とクハ110形の機器を総入れ替えするという大掛かりな工事を行っています。 その際形式も入れ替りました。 モハ16011形+クハ110形+モハ16012形となり、クハ110形は増結用としました。 なお、MM'ユニットであるため、クハ110形には引通線が新設されています。 しかし増結作業に手間がかかることで3連での運用が減り、 2010年(平成22年)に運用離脱となりましたが第2編成は、水戸岡デザインの観光列車「アルプスエキスプレス」へ再改造され、 再び3連化されました。第1編成に組み込むクハ111は2016年に廃車されました。
 この一連の流れを見て、地鉄稲荷町テクニカルセンターの技術力高さには驚きです。
 2020年度、西武より10000系4両を購入して、16010形の今後が心配になりますが、 一方で10000系がどのように生まれ変わるか楽しみです。
(2020年11月 T・O)


第2編成のモハ16014+クハ112+モハ16013です。 観光列車「アルプスエクスプレス」専用車両となり、 1号車のモハ16014には、トイレが設置されました。 設置場所は、クハ112の連結寄りの窓がない部分で西武時代は車販準備室でした。
2015年11月15日 稲荷町テクニカルセンター

観光列車「アルプスエキスプレス」2号車は指定席。 どうみてもサハですが、形式はクハ110形クハ112。
2015年11月15日 稲荷町テクニカルセンター