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鬼怒川温泉駅を出発した「SL大樹6号」の2号車オハテ12 1。 展望デッキは人気があり家族連れなどで埋まっていました。 |
2024年 6月 9日 鬼怒川温泉駅 |
東武鉄道はSL大樹に力を入れてます。 乗客も多いので鬼怒川温泉の活性化に貢献しているのでしょうね。 ただ、私の地元の田園都市線では東武さんは評判がよくないんです。 なぜなら車両点検でダイヤを乱すのが東武車のことが多いから。 普通の営業車もSL大樹並みの情熱で整備してくれるといいのですが。 今月の友情出演はそんなSL大樹に加わったオハテ12をご覧ください。
(2024年7月 H・T)
今回のトップナンバーは、東武鉄道の「SL大樹」「SLふたら」用客車、オハテ12 1です。 東武鉄道は、鬼怒川線活性化のため2017年(平成29年)8月より「SL大樹」を下今市〜 鬼怒川温泉間で運行開始することになりました。
オハテ12 1の形式番号表記は、国鉄風フォントです。ただし、 特急車両ではないので、14系客車のような金属プレート切抜きではありません。 また、オハテ12 1のみ、窓桟は「茶色」で塗装されています。オハテ12 2はアルミ地肌です。 2022年 2月26日 鬼怒川温泉駅
オハテ12形で展望デッキに改造された部分。扉と客室窓2個分がデッキとなりました。 写真は、オハテ12 2です。 2024年 6月 9日 鬼怒川温泉駅
このSL運転を開始するにあたり、東武鉄道は次のような準備を行いました。
(1) JR北海道よりSLの借り入れ
「SLニセコ号」などで使用されていましたが、 JR北海道の財政悪化から機関士養成まで手が回らなくなり、 2014年(平成26年)11月で運行を終了したC11 207を借り入れ。
(2) JR四国から客車購入
JR東海からJR四国へ移籍したのですが、殆ど出番なく休車状態となっていた14系客車 (スハフ14 1・5、オハ14 1、オハフ15 1)と「ム―ライト高知」「ムーンライト松山」 で使用されていましたが、列車が廃止となり用途が無くなった12系客車(オロ12 5・10)の購入。
(3) JR東日本からSL列車の補機 ・入換用DLの購入
下今市駅から鬼怒川温泉駅まで登り坂が続くための補機、 入換及び下今市と南栗橋間SL輸送を行うDL(DE10 1099)をJR東日本から購入。
(4) JR貨物とJR西日本からATSのための車掌車購入
C11 207は東武ATS搭載がスペース上で困難で、 次位にATSを搭載した車掌車を連結対応することとなり、JR貨物からヨ8634、 JR西日本からヨ8709を購入。
(5) JR西日本などからSL運転に必要な設備を移設及び建物を新設
下今市機関区内にJR西日本の山陰本線長門市駅にあった転車台、 鬼怒川温泉駅前に芸備線三次駅の転車台を移設。 下今市駅に隣接し下今市機関区、南栗橋車両管区内にSL検修区を新設。
(6) SL・DLの乗務員等養成のためJR北海道、秩父鉄道、大井川鐵道、真岡鐵道そして会津鉄道に協力要請 SLの機関士・機関助士、研修員養成は、JR北海道、秩父鉄道、大井川鐵道、真岡鐵道、 DL機関士は真岡鐵道、会津鉄道で研修。
です。
これ以外にも、下今市駅をSL列車に似合うよう、レトロ風に改装しています。 その後、SL運転の拡充のため、真岡鐵道からC11 325、JR東日本からDE10 1109、 JR北海道からオハ14 505 (急行「はまなす」の指定席車でキロ182のグレードアップで 不要となったリクライニングシートを転用 ・設置した、元ドリームカー) とスハフ14 501を 購入しました。なお、スハフ14 508、オハ14 504も一緒に、甲種輸送されていますが、 留置されたままとなっています。
そして、2018年(平成30年)に、江若鉄道→雄別炭礦鉄道→釧路開発埠頭と渡り歩き 最後は江別市で個人に保存されていたC111(青梅鉄道公園で展示されてるC11 1とは別車両)を譲受、 動態復元を行い、東武鉄道が2020年(令和2年)創立123周年を迎えたこと、 そして3両目SLとなることで車番を C11 123 としました。 2022年(令和4年)7月より営業運転に投入されました。 SLが3両、客車は3両編成が2本体制となりました。
さて、JR四国から14系客車と共に東武鉄道へ譲渡されたオロ12 5、10の車体は錆で傷んでおり、 14系客車と共通部品が多く「部品取り用」と思っていたのですが、 2021年(令和3年)大改造されて営業復帰をしました。3列リクライニングシートを撤去し、 従来の12系客車のようなボックスシート(東武6050系の廃車発生品?)と大型テーブルを設置、 下今市側の扉と客室窓2つ分をオープンデッキ化し、トイレ・洗面所も撤去、 アテンダントカウンターとモニター付ギャラリースペースに生まれ変わりました。 形式が変更されて展望車を意味する「テ」を加え、「オハテ12形」、 オハテ12 1とオハテ12 2となりました。 さらに、オハテ12 1は旧型客車をイメージした「茶色」に塗り替えて、 客室窓下に赤帯が入りました。オハテ12 2は「青色」のままですが、 客室窓下に淡い緑帯を入れています。 オハテ12 1を組み込むスハフ14 5とスハフ4 501も「茶色」に塗り替えられています。 東武鉄道のSL列車にかける意気込みを感じました。 ただ、当初 2号車に組み込まれたオハ14 1やオハ4 505 ドリームカーの出番が無くなってしまい、 今後、どのように展開をみせるのか気になるところです。
(2024年7月 T・O)
終点鬼怒川温泉に向かって、力強く坂を登る「SL大樹5号」です。 編成は、C11 123+スハフ14 5+オハテ12 1+スハフ14 501 です。C11 123の運転列車は、 ATSをSL自体に搭載できたので、ヨは連結していません。 2024年 6月 9日 新高徳〜小佐越
「青色15号」塗装のオハテ12 2です。よく見ると、12系と14系は、車高が違っています。 これは14系の冷房装置排気ファン部分に積雪対策でカバーを設置したため車両限界で 低くしたと言われています。よく見ると14系の冷房機にはカバーが付いています。 2022年 2月26日 下今市駅
ホームを挟み、客車列車が並ぶことも貴重な風景となりました。 2024年 6月 9日 鬼怒川温泉駅