昭和51年5月22日 恵比寿
この車をトップナンバーと呼んで良いのか微妙なところではあります。
と言うのも、皇室用客車には形式が存在しないからなのです。
供奉車330号は、昭和6年に1号編成用として大井工場で製造。
昭和35年、新1号御料車が落成した際に固定編成列車方式に整備改造され、
台車はTR73から御料車と同じ空気バネのTR65に交換、床下クーラーにより
冷房化されています。車内は回転腰掛が25脚あり、
左側デッキの脇には小さく「ロ25」の標記があります。
この供奉車330号が生まれた昭和6年は、最初の丸屋根車スハネ30000形が生まれた
年でもあり、この時点でいわゆる絞り屋根を採用しているのは大変興味深いことです。
これは、二重屋根をやめるにあたり絞り屋根も候補に上がったものの、編成美を
乱すという理由で丸屋根を採用したが、特定の車だけで編成を組む皇室用
客車にだけ絞り屋根が認められたと言われています。
すでに車齢70年を超えていますが、代替車が誕生するとは思えません。
ここ暫くは元気な姿を見せてくれるでしょう。(2004年5月 H・T)