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塩浜操(現:川崎貨物)で撮影した コヤ90形はトップナンバーアルバム で紹介済みですが、この時ついでに撮ったのがS90形コンテナです。 コンテナ車はその目的から高速化が表裏一体なのですが、そこで問題に なったのが車掌車です。最高速度が85km/hのコキ5500形の場合はヨ5000形・ 6000形で対応できましたが、既存の車掌車で対応できるのはここまで。 昭和41年の最高速度が100km/hのコキ10000形にはコキフ10000形が登場し、 昭和46年の最高速度が95km/hのコキ50000形にはコキフ50000形が登場しています。 しかし、国鉄はコキフが不満だったようで、昭和42年には100km/h対応の ヨ9000形を試作しますが見事に失敗。 続いて48年に試作したのが車掌コンテナです。 このS90形コンテナは、昭和48年に1個だけ試作されました。コキに 車掌コンテナを積載してコキフの機能を持たせようとしたもので、発電機・蓄電池・ タンク付トイレなど一切の機能がワンパックになっていますが、車掌弁だけは コキのブレーキホースに接続する必要があります。また、コキフ50000形の乗り心地 が悪いことから足下にはクッションが仕組まれています。残念ながら問題点を クリアすることができずこれまた試作だけで終わりました。 余談になりますが、コキフ50000形の乗り心地は相当に悪かったようで、 その改善を目的に昭和54年から台車を 空気バネのTR203に交換する改造が始まりましたが、60年には貨物列車の車掌が 廃止されてしまいました。62年からは不要となった車掌室をはずしコキに編入 されたのですが、TR203は荷重負担力からコンテナの積載個数に制限が ありました。コキフの時は我慢したもののコキとしては大きな弱点であり、 コキ100系の増備の陰で早々に淘汰の対象になってしまいました。 なんとも「国鉄らしい」話です。 (2009年8月 H・T) |