トップナンバーアルバム

田町運転区に展示されたACトレイン。手前がクハE993-1です。 運転室は広い近郊型タイプでした。   2002年8月26日 田町運転区


クハE992-1は運転室が狭い通勤タイプでした。   2002年8月26日 品川駅


 JR各社の中でもJR東日本の体力が抜きん出ているのは誰もが認めるところですね。 営業に使用しない、純粋に研究目的で試作車を作ってしまうところがさすがJR東日本です。 このような試作車は趣味的に興味が集まるものですが、 予想に反して減価償却が終わらぬうちに廃車になってしまいました。 研究目的で何か制約があったのでしょう。 このE993系の成果を踏まえてE331系を試作ましたが、本気で連接車を使うつもりなんですかね。
 短命に終わったE993系をTOの友情出演でご覧ください。(2012年10月 H・T)
 2000年頃から数年間、「わくわく品川鉄道探検隊」が開催されていました。 品川駅を専用列車で出発し、東海道上下線に挟まれた田町運転区(現、田町車両センター)や 保線基地を見学するツアーで一般の車両基地公開とはちょっと趣が変っていました。 私が参加した2002年夏は、品川駅を167系に乗って出発、運転士と同乗した信号係と輸送指令とのやり取り実況中継から始まり、 品川駅の歴史、車両基地の説明を聞き留置線に到着・下車しました。 まずはホキが載った1925年製(大正15年)の転車台を見学、マルタイなどの保線機器の説明を受けた後、 撮影会が始まりました。 ちなみに展示されていた車両はEF5861、EF651118と乗ってきた田町配属の波動用167系、 そして今回トップナンバーで取り上げたE993系でした。
 さて、E993系はJR東日本が次世代の通勤・近郊型列車を検討するため、2002年に製造した試験車両です。 「ACトレイン(Advannced Comumuter)」と呼ばれています。 そのため、試験的要素が取り入れられています。連接構造、客室空間拡大を狙った外吊り扉、 東芝が開発したDDM(直接駆動モータ)、運転台計器類は画面表示となるグラスコックピット、 フルカラーLED表示器やユニバーサルデザインとして、扉内側にはドア開閉灯、黄色シールなどです。 これらは、国府津に配属されたE231系3000番台にグラスコックピットやドア開閉灯を採用したのに始まり、 常磐線のE531系の車内ドア廻りの視認性向上などJR東日本が投入した通勤・近郊型車両に反映されています。
 編成はクハE993-1+サハE993-1+モハE993-1+モハE992-1+クハE992-1と全ての車両がトップナンバーだったのですが 「2002年わくわく品川鉄道探検隊」に参加した時は場所が狭く正面からの写真しか撮っていません。 そのうちどこかで撮れるだろうと思っていたら、2006年9月に郡山で解体されてしまいました。 この時、車体強度試験に使われたとの噂がありました。事実ならば、車両としては4年という短い一生でしたが、 試験車両としては天寿を全うしたといえるでしょう。
(2012年10月 T・O)


判りにくいのですがこれがDDMです。   2002年8月26日 田町運転区