レイアウト線路配置図
ヤード西側拡大図 ヤード東側拡大図 駅・西側拡大図 駅・東側拡大図 機関区拡大図
 ノーブルジョーカーのレイアウトは、クラブの紹介にもあるように、 みんなで持ち寄った車両を快適 に運転して楽しむことを目的に制作しました。線路配置は図に示すように、駅構内と ヤードのボードを大きな曲線で結んだ複線エンドレスが基本となっています。現在の 駅構内は2代目、ヤードは3代目になります。
レイアウトを計画するに当たり
 1)耐久性があること
 2)組み立てが容易であること
 3)誰にでも容易に運転が楽しめること
の3点に特に留意ました。
 レールはピコ製品(HO、コード100)を使用しており、一部を除きPC枕木のフレ キシブルレールと大型ポイントを使用しています。両側の曲線は1500Rと大きめ にとってあります。レールの接続はジョイナーを使用し、分解時には片方の線路にス ライドさせて収納し、組み立て時にはボードを組み立てた後にジョイナーを元の位置 にスライドさせて接続する方法をとっています。
 駅構内には一端に数本の留置線を配置し、反対側には機関区を配置しています。運転 は内回り外回りの本線と、内外のヤードおよび機関区の5系統になっており、ヤード への引き込み線がある側のカーブは見かけ上複々線となっています。
 このレイアウトは、ボードの骨組みにアルミ材を使用したことと、ピコ製のポイント の特性を生かしてフィーダの数を極力少なくしたことの2点が特長となっています。 それぞれの特長を中心にこのレイアウトの構造を解説したいと思います。
レイアウト全景。左側が駅、右側がヤード。
内側はF氏の13mmゲージのレイアウト。
駅全景
ヤード全景

レイアウトのボードについて
 通常、組み立て式レイアウトのボードはベニヤ合板を基盤に木材で骨組みを構成する やり方が一般的ですが、年1−2回の頻度で使用するには、運搬時の破損と保存条件 や経年変化による木材の反りが懸念されます。 そこでボードの側板にアルミの引き抜き材を使用することを考え、各種のアルミ材を 調べ検討しました。

<旧規格のボード>
旧ボード構造図  最初に側板に使用したものはショーケースに使われるF型の断面 をしたアルミ材でした(右図)。これは現在もヤードの全てとカーブの3/4に使用 しています。このアルミ材はショーケースの上の縁に使用し、上面にガラスを乗せる ために作られたのもののようです。ガラスを乗せる部分に5mm厚のベニヤが都合よく 乗るのでこれを採用しました。
 ボードは重ねて運び保管することを考えて全て45cm幅 とし、180cmと120cmの2種類の規格で制作しました。構造は図に示すようにアルミ材 にベニヤ板をタッピングビスで固定しただけの簡単なものですが、180cm長のボード でも約20年経過した現在、長手方向の反りは全く見られません。カーブの部分はベニ ヤの乗る部分に切り込みを入れて曲げた多角形にしてあります。ベニヤ板はコンクリー ト枕木の線路がきれいに見えるように黒に塗装してあります。このアルミ材の問題点 は高さが2cmしかないことで、ボードを重ねた場合、ポイントに直接取り付けたピコ のポイントマシンと下のボードのレール面とのクリアランスはぎりぎりになります。 現在は新しい規格のボードに高さを合わせるため、図のようにベニヤの帯板で嵩上げ しています。


F型のアルミ材を使った旧規格ボードの断面。

ベニヤの帯板で嵩上げした旧規格ボード。

<新規格のボード>
新ボード構造図  平成元年に駅構内のボードの更新を計画しました。その際、今ま でのレイアウトボードを使用した経験から以下の問題点が出てきたのでそれに対処し て新しいボードの構造を考えました。
1)側板の厚みが2cmしかないためボード下部の空間が狭く不便である。
2)横方向の強度はベニヤ材のみに負担させたためボードの中央部が垂れ下がるものが出てきた。
3)180cmのボードは運搬保管に長すぎて扱い辛い。
4)ボード端面のレールの痛みが激しい。
 そこでボードの長さは150cmとし、側板には15X30X15のチャンネル材を使用する事 にしました。当時、以前に使用していたF断面のアルミ材が入手困難になったことも チャンネル材使用の一因となっていますが、側板の素材を変えた第一の要因はボード の厚みを増して下部の空間に余裕を持たせたかったからです。
 構造は図に示すよう に5.5mm厚の耐水ベニヤ合板を3X10mmのアルミ引き抜き材でサンドイッチする構造と しました。横方向の強度を持たせるため2カ所に同じチャンネル材により補強を入れ てあります。また重ねたときに横方向にずれるのを防ぐため、東急ハンズで見つけた 木ねじがついたダボを4箇所につけてあります。端面には、立てかけたときのレール 保護と接合時の密着性を考慮して鋸の歯状のベニヤ板を取り付けてあります。これに より接合時にぴたりとかみ合い、上下左右のずれを防いでいます。
 新規格のボードは旧規格に比べ格段に取り扱いが楽になり、ボードのゆがみや線路の 破損も現在のところ全く見られていません。いずれは全てこの規格のボードに変えて ゆく予定です。


新規格ボードの端面構造。

ボード裏側。
結合した際、1枚のベニヤから切り出した鋸の歯状の凹凸がかみ合う。 横に渡したアルミ帯板の中へ結合相手のベニヤが入り込み、 上下方向、左右方向のズレを防ぐ。(写真左上)


ボードを重ねたときもダボがあるため横ずれしない。(写真左下)


ボードの裏面は2本の梁で補強。写真のように立てかけたときも鋸の歯状のベニヤ板が でっぱっているため端面レールはいたまない。(写真右)

新規格ボードを重ねた状態。

レイアウトの電気配線について
 組み立て式レイアウトにおける悩みの一つに電気配線の取り回しがあると思います。 特にポイントの集中するヤードや駅構内ではポイントマシンの配線や細かく区切られ たフィーダへの配線はかなりの量となり、コードのとりまとめやコネクターへの配線 などに苦労するところです。一般に組み立て式レイアウトの駅構内は国鉄時代の大き な駅のようにポイントが錯綜する複雑なレール配置は見られず、いわゆる私鉄風の シンプルなものが多いようです(JRになってからは実物も複雑な線路配置は減った ように思いますが)。それは運転時の操作を簡素化する目的が大きいと思いますが、 複雑な線路配置にすると多くのブロックに分けてフィーダをつなぐ必要が出てくるた め、組み立て式では電気配線が困難となる事も一因となっているようです。
 ノーブルジョーカーのレイアウトの駅構内はこの種のものとしてはかなり複雑な 線路配置になっていますが、この駅構内に給電しているフィーダは下図のように 1番線から6番線の6本だけです。この他には内外の本線、内外のヤード、 機関区とターンテーブルの6本のフィーダがありレイアウト全体ではフィーダ線は12本に なります。

駅部分の配線図

<完全選択式のポイント>
 駅構内のポイント集中部にフィーダと一般的なギャップは1カ所もありません。1番 線から6番線のどこかに開通しているときだけ開通しているところと電気的につなが るようになっています。このように説明するとリレーなどを使った複雑な電気回路を 想像されるかもしれませんが、ピコのポイントのリードレールにギャップを入れてマ イクロスイッチを取り付けた、いわば”完全選択式ポイント”を使っている だけです(2つのポイントの連動が保証されている渡り線では、渡り側のリードレー ルのギャップは省略できます)。このポイントの特長は非開通側が電気的にN側S側 ともに遮断されるところにあります。全てにこのポイントを使用すればどのような複 雑な経路を設定してもポイントの操作のみで開通している部分のフィーダから電気が 供給されることになります。従って列車を出発させたい番線とこれから出て行きたい 線路(内外本線や内外ヤードなど)を同じコントローラーに選択して後はポイントで その間の経路を設定すればよいわけです。

完全選択式ポイント
ポイントに設置したマイクロスイッチ
ポイントに設置したマイクロスイッチ

<コントロールパネル>
 運転をしながらポイントを1つ1つ変えて行くのは面倒なので、コントロールパネル上 で1-6番線それぞれに出発して行きたい先の本線またはヤードを選択できるボタンを 設け、ワンタッチで目的の経路が構成されるようにしてあります。その際、 選択された2つ以上の経路が交差して干渉する場合にはアラームがなってポイントが 転換されないような安全装置を設けてあり慣れれば誰でも簡単に操作できるようにな ります。
 ヤードは全て柳線になっているのでピコのポイントをそのまま使用しています。コン トロールパネルのロータリスイッチで目的の番線を指定してボタンを押す とワンタッチで全てのポイントが転換するようにしてあります。ヤードのコントロー ルパネルは駅構内側とヤード側と同じものが2つありどちらからでもコントロールで きるようになっています。

駅のコントロールパネル
駅のコントロールパネル
ヤードのコントロールパネル
ヤードのコントロールパネル