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 TOMIXの10系客車は、第一陣の寝台車が特徴をよく表現したいい出来でした。 第二陣の座席車も雰囲気をよく捉えていましたが、共通した欠点は腰が高いこと。 発売開始直後に青15号のナハフを1両手に入れたのですが、 床板一体のボルスターを見て「これは簡単に車高が下げられない」と、増備の手が引っ込んでいました。
 最近になり友人のところから座席車・寝台車が移籍してきたので、座席車の車高下げに挑戦した次第です。 下回りは4両同時に手をつけましたが、ぶどう色のナハフが1両いたので、 これを先に完成させることにしました。


○車高
 加工前と加工後をご覧ください。 やはり車高が高いと落ち着きがありませんが、車高を上げているのは意図的なのでは?と思います。 これは想像ですが、悪路で台車がステップ等の床下の突起物に接触して脱線することを避けたのではないでしょうか。

やはり腰高だと落ち着きがありません。

ぐっと印象がよくなります。

わずか0.5mm強の差ですが、この差が大きいと思います。 デッキが内寄りにある座席車では急曲線で台車がステップに接触する可能性は否定できません。



○台車
 車体側のボルスターが段付きの突起で加工困難です。台車側で調整することにしました。

ボルスターに接する面を削リました。左側が加工前、右側が加工後です。

4両分8台車を加工しますので、安定して支えられる簡単な台を用意しました。 私には珍しいことなのですが、「急がば回れ」ですね。

 枕バネ部は別パーツになっていて立体的なのですが、裏から見ると台車枠から浮いています。 加工中に押さえつけていたら多くがとれてしまいました。最後に接着剤を使って固定しておきます。

 揺れ枕吊りの上あたりに台車枠のランナーが見えますので、これは切り取っておきます。  また、送電用のツノですが、車高が下がった分だけ床上の接点を押し上げることになりますので、 これも0.5mm程度削っておきます。


○妻板

 これは10系に限ったことではなくプラ製品に共通したことですが、妻板上部の淵に屋根がかぶさっていて、 屋根の端面が見えています。 妻板は全体が車体色のはずのところ、屋根色(10系の場合は銀色)の縁取りが見えるのは、大いに気に入りません。 タミヤのエポキシパテを盛りつけて整形しました。
 この加工では屋根を固定することになるので、照明ユニットを先に組み込んでおきました。 近代化改造前のナハフ10形ですから電球色です。
 再塗装の必要がありますが、手間をかけただけのことがあると思います。
 実物の写真でよく目立つ車掌室のトラップとジャンパ栓後ろ側の配線を追加しました。 しかし、光線の具合が実物と模型では差があるからでしょうか、手間の割にはあまり目立ちませんでした。 むしろプラ製のエアーホースや蒸気暖房管用の穴をなんとかするべきでしたね。


○便所・洗面所

 10系座席車は、近代化改造の時にデッキドアや洗面所窓の形態が変わりました。 デッキドアと便所窓は別パーツとして作り分けを容易にしているのですが、ここにエラーが。 変化があったのは洗面所窓なのですが、こちらは一体成型で、近代化改造後の形態(下段固定・上段下降)です。 新製時とは中桟の位置が異なるので桟を削り落とします。
 なお、近代化改造で洗面所窓に手をつけなかった車両もありますので、 編成に変化をつけたい場合には同様の加工をするのも面白いかと思います。
 中桟は洋白線、下段の固定部分にはプラ板を表から貼ってみました。 これで上段中折れ窓が完成です。
 こちらは別パーツになっている二段中折れタイプの便所窓です。 デッキ手すりは製品のプラパーツを使用しましたが、寝台車の時と比べて形態がよくなっており、 塗装したので違和感はありませんね。
 また、初期の軽量客車の特徴であるデッキのドアは、アルミ無塗装のイメージが強いのですが、 ナハ10・ナハフ10形では新製時より車体色に塗装されていました。


○内外装

 この模型のアルバムに掲載したスハネ16では初めて座席に色差しをして効果的だったので、 以降のスロハフ30やオハ30でも定番の作業としてきました。 今回は塗装ではなく、月刊誌の製品の紹介にあった御影モデルクリエイトの商品を使ってみました。
 これは、裏面に糊がついた紙に座席のモケットの色を印刷してあるものです。 塗装よりも実感的という謳い文句につられて買ったのですが、 座席のサイズに切るようトンボが印刷されているだけで購入者が自分で切るようになっていました。
 座席のモールドのグレーが枠の色に使え、塗料のはみ出しに気を使わずに済むのですが、 数が多いので切り出しは楽ではありません。手間と値段を考えるとちょっと高い買い物でした。


 妻板のところで触れたように車体は再塗装しましたが、もう少し艶があったほうが良かったかもしれません。 床下もつや消しの黒で塗装してあります。新製から近代化改造までの10年以内の姿ですから、 ウエザリングは床下にレッドブラウンを吹いただけで、屋根はそのままとしました。 昭和30年代の優等列車に組みこんであげることにしましょう。(2014年6月 H・T)

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