首都圏・ちょっと気になる貨物列車



(6) 73、72、77、76列車


 今回紹介するのは東京貨物ターミナルと鹿島サッカースタジアムを結ぶ列車群です。 これらの列車は外見的には何の変哲もないコンテナ列車です。 しいて特徴と言えばタンクコンテナが比較的多いことぐらいでしょうか。 また、牽引機は高崎のEF65で、これもとりたてて興味を惹く機関車ではありません。 では、なぜこれらの列車が気になるかというと、その運転経路が面白いからです。
 最初はあまり気にとめていなかったのですが、よくよく考えてみると 東京貨物ターミナルから総武線方面へ向かうのは簡単ではないことに気がつきました。 そこで、貨物時刻表を調べてみると、やはりかなり面倒な経路をたどることがわかりました。 この経路を即座に言える人は相当な貨物通ではないでしょうか。
 これらの列車は下に示すように、東京貨物ターミナルを出発したあと東海道貨物線、 南武支線、尻手短絡線、武蔵野線、常磐線、新金線を経由して新小岩(操)に至ります。 東京貨物ターミナルから新小岩(操)まで直線距離にして15km程度ですが、 この列車はぐるっと東京の外側を回るため、その8倍近い116kmあまりを走ります。 新小岩(操)から進行方向を変え総武線、成田線、鹿島線を経由して 鹿島サッカースタジアム駅に到着します。

73、72、77、76列車運転経路

 このような経路をとる理由のひとつは、東京貨物ターミナルからは 川崎方面へしか出られないためです。 もともとの東京外環状線計画では、東京貨物ターミナル(計画時は大井操車場)から 新木場を経由して現京葉線、武蔵野線へのルートが計画されていましたが、 結局は開通しないまま現在に至っています※。 もっとも、東京貨物ターミナルから新木場方面へ出られたとしても、 現在の線路配置ではやはり総武線へ出るためには面倒な経路をとらざるを得ません。
 さて、鹿島サッカースタジアム駅というのも貨物列車の終着駅としては違和感があります。 サッカーとコンテナはどう考えても結びつかないのですが、ここはJR鹿島線と鹿島臨海鉄道の 接続駅なのです。以前は北鹿島駅と呼ばれる客扱いをしない駅だったのですが、 近くにサッカー場ができたため今の名前に変更され、 試合のある日のみ客扱いも行うようになりました。 したがって、ここが貨物の目的地ではなく、ここから鹿島臨海鉄道によって 鹿島臨海工業地帯の中心地・神栖まで運ばれます。(2008年4月 T.O@管理人)

※東京外環状線として計画された路線は、現在、武蔵野線・京葉線として そのほとんどが開通しています。 大井操車場−新木場間も東京臨海高速鉄道りんかい線本線と八潮車両基地への 回送線として使用されています。八潮車両基地は東京貨物ターミナルの近くにありますが 線路はつながっていないようです。


2007年5月2日 武蔵野線・府中本町付近
東京をぐるっと回って鹿島からやってきた72レ。 この日は茶色の57号機牽引でした。 鹿島を出るのは昼前ですが、遠回りをするので府中本町を通過するのは夕方です。

2007年4月14日 武蔵野線・西浦和駅
夕日に照らされて西浦和へ進入する76レ。


2008年2月23日 武蔵野線・東浦和−東川口

2007年6月23日 新金線・新小岩−金町
澄みきった青空の下、見沼田んぼを行く73レ。 このあたりは武蔵野線では数少ない引きのとれる撮影地です。 夏場は背の高い草が茂りますが、この季節なら足回りまですっきり撮ることができます。
新金線を走る73レ。 以前は武蔵野線から千葉貨物へ向かう貨物列車は新金線を経由していましたが、 現在はほとんどが京葉線経由になり、ここを通る貨物は少なくなりました。


2007年6月23日 総武本線・幕張−幕張本郷

2008年1月6日 総武本線・物井−佐倉
新小岩(操)から千葉までの区間は過密ダイヤの合間をぬって走ります。 貨物列車はなんとなく場違いのような感じで肩身が狭そうです。(72レ)

ここから総武線快速電車なら東京まで1時間ほどですが、 大回りする72レは東京貨物ターミナルまでまだ4時間以上かかります。


2006年6月10日 成田線・下総神崎−大戸

2004年9月3日 鹿島線・延方−鹿島神宮
成田から先は田んぼが広がる風景の中を走ります。 やはり貨物列車にはこういう風景が似合うような気がします。(76レ)

北浦の南端に架けられた長大な橋をわたる1098レ。 今の72レは2005年のダイヤ改正までは1098レという列車番号でした。



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