頸城鉄道の名脇役たち(3)
−2軸貨車−

写真をクリックすると拡大画像が表示されます


 線路規格の低い軽便鉄道では、線路の負担を軽減するためにボギー車を使用するところが多かったが、頸城の貨車たちは全て2軸車だった。
 有蓋貨車は、自社発注の日本車輌製のワ1〜ワ11(形式ワ1)と、国鉄松浦線、魚沼線から転入してきたワ12〜ワ16(形式ワ2)の2種に大別できる。前者のうちワ7とワ10は車体に鋼板を張られていた。
 自社発注組は全長4,826mm、全高2,737mmで、元国鉄組の全長4,130mm、全高2,800mmと比べて、やや長く低い。このわずかな差が混合列車に組み込まれたときに微妙な凹凸を作り出し、絶妙な編成美を生み出していた。


  − ワ 2−  

 ワ2は、自社発注の日本車輌製で(長く低い)、これといった特徴のない常識的な有蓋車だった。 もっとも、こいつを改造してラッセル車やらロータリー車を作ってしまうのだから頸城鉄道、恐るべし。
 有蓋車たちはデッキを持たず、したがってブレーキは車側ブレーキのみ。

ワ2とワ9  百間町にて
ワ2のサイドビュー
ワ2の足回り


  − ワ 14 −  

 ワ14 は、国鉄魚沼線からの転入組で短く高い。 幅も自社発注組の1,962mmに対して、1,780mmと狭い。縦長の印象が強く、ちょっとアンバランスなところがむしろ軽便車輌らしくて好ましい貨車だった。

ワ14 新黒井駅跡にて
ワ14 新黒井駅跡にて
ワ14の妻面 細長い!


ワ2の竣工図
ワ14 の竣工図



  − ト6 −  

 頸城の無蓋車は2種類あって、いずれも木造の2軸車だった。1種は形式ト1型で、ト2、3、5、6の4両 があり、手ブレーキを持っていなかった。
 もう1種はトフ1型で、トフ1と4の2両があった。形式名から想像できるように、こちらは手ブレーキを備えていた。両形式の番号は通しなので、これもまた紛らわしい。

ト6 百間町にて
ト6のサイドビュー

ト6の竣工図