トップナンバーアルバム

追分駅で男鹿線から奥羽本線に入り、パンタを上げて終点秋田駅へ向かうEV-E801系です。 手前の赤い車両がEV-E801-1です。
2019年12月1日 追分〜上飯島

車体側面の形式表記です。
2019年12月1日 追分駅

パンタが下がったEV-E801の相方、EV-E800-1です。 床下の所狭しと並んだ蓄電池からEV-E801へ給電しています。
2019年12月1日 追分駅


 自家用車の世界ではプリウスがヒットし、ハイブリッド車が普通の存在になりました。 しかし、二つの動力源を持つことから価格が高くなり、 一般的な使用条件ではガソリン代で価格差を埋めることは難しいようです。 量産効果のある自家用車でさえこの状況、 生産数の少ない鉄道車両に導入することに意味があるのでしょうか、 と疑問を持ってしまいます。 今月の友情出演は、そんな新時代の車両をご覧ください。
(2020年6月 H・T)
 今回のトップナンバーは、JR東日本の交流区間用蓄電池駆動電車です。
 JR東日本は、トップナンバーでも取り上げたことがある直流区間用蓄電池駆動電車を開発し、 EV-E301系とし2014年(平成26年)を烏山線に試験投入しました。 その後増備を行い烏山線のキハ40を置き換えました。 しかし、交流電化区間と非電化区間を直通する蓄電池駆動電車については、自社開発せず、 実用化されていたJR九州のBEC819系を50Hz対応や耐寒耐雪設備の追加などを行い、 EV-E801系として、2017年(平成29年)に男鹿線と直通運転を行う奥羽本線に投入しました。
 国鉄時代は試験研究所を保有し、基本は自社開発を行っていましたが、 民営化されてJR東日本となってからは、他社技術も導入するようになりました。 他にも、レール運搬車キヤE195系がおり、この車両はJR東海が開発した車両です。 小世帯車両については、他社技術を導入し、コスト低減を図っているようです。
 さて、EV-E801系は、JR九州の「BEC819系」をベースに製造されました。 JR九州では「“D”UAL “EN”ERGY “CHA”RGE TRAIN」から 「DENCHA」と愛称をつけていますが、JR東日本では、 EV-E301系と同じ蓄電池を意味する「accumulator」から名付けられた「ACCUM」 を愛称としています。 車体は、製造会社である日立製作所の「A-train」で、アルミ合金、ダブルスキン構造の3扉ロングシートです。 なお日立製作所笠戸事業所でJR東日本の通勤・近郊形電車が製造されたのは、 215系以来24年ぶりとなっています。 車体の塗装は、男鹿地方の重要無形民族文化財である「なまはげ」をイメージして、 EV-E801形は赤い「じじなまはげ」の赤色に、EV-E800形は青い「ばばなまはげ」)の青色となっています。 さらに、前面貫通路や運転室側戸袋部分になまはげの顔を描いたシールが貼られています。 制御方式は、BEC819系と同じ構成で交流回生ブレーキ付き変換装置(PWMコンバータ+VVVFインバータ) を搭載しています。 EV-E301系は、Mc+Mc編成で、連結面側だけを動力台車とした実質1M1Tでしたが、 EV-E801系ではベースのBEC819系と同じくEV-E801形を「Mc」として、 主変換装置などの主回路関係機器及び補助電源装置、コンプレッサーを搭載し、 EV-E800形は「Tc」として、主回路用蓄電池を床下に取り付けたユニット編成となっています。 1編成のみ登場して暫くは試験を兼ねた運用を行っていましたが、増備が発表され、 2020年度に、キハ40、キハ48を置き換えることになりました。 秋田地区にもGV-E400系が投入されますので、ここも国鉄形車両は終焉の時を迎えることになります。
(2020年6月 T・O)

ベースとなったJR九州が開発したBEC819系です。 写真は香椎線用のBEC819系300番台(クモハBEC819-311+クハBEC818-311)です。
2019年12月14日 香椎駅

R九州のBEC819系は、「クハ」などの形式が付きます。 ちなみに、「BEC」は Battery Electlic Carの略だそうです。
2019年12月14日 香椎駅