(5) 駅構内の製作

1.線路の敷設



 ボードが完成したら線路の敷設にかかります。 実物の線路は下から、地盤、基盤、道床、枕木、レールという構造になっていますが、 実物を観察しますと駅構内は基盤部分がはっきりせず、 地盤からいきなり道床になっているように見えます。 しかしボード上に直接枕木を敷くといかにも道床が薄く貧弱に見えますし、 駅以外の部分にはある程度の厚さの道床は必要でその部分とレール面の高さを揃える必要もあり、 駅構内部分には線路を敷設する部分全体に亘って厚さ2mmのコルクの板を張りました。 コルクを用いたのは少しでも吸音効果を期待したためですが、 バラストを固着したためか殆ど効果はなかったようです。 次に1/5の図面に従って線路配置を鉛筆で正確にコルク板に描き、 まずポイントの位置を確定します。 この際ポイントとポイントの間の線路が不自然なカーブにならないよう注意します。 ポイントの場所が確定したら、トングレールの先端左右を結んでいる真鍮板の 真ん中にあいている穴の位置をボード上に印し、 その印を中心に10mmのドリルでポイントマシンのロッドを通すための穴をボードに開けます。 またポイントロッドは不要な左右部分はカットし、 ロッドが動く部分は動きをスムーズにするためコルクを剥しておきました。 またケーディーカプラーを装着した本務機および補機の自動解放をするため、 解放位置の線路の真下に目立たないようケーディーの解放用永久磁石(52mmx39mm)を入れるべく、 ボードに同サイズの穴を開けました。編成の長短を考慮し横川方に6箇所、 中軽井沢方に3箇所設置しました。 できれば永久磁石でなく電磁石を設置して解放・連結したいところですが、 電磁石の厚さのためにあきらめました。尚、この穴はかなり大きいため、 この部分は2mmのコルク板の代わりに同じ厚さのベニヤ板を入れ強度を持たせました。 以上が完成しましたらいよいよ線路の敷設作業に入ります。 線路は木製の枕木にレールをスパイクする方が見映えは良いと思いますが、 このような比較的大型のレイアウトになりますとその手間はかなり大きなものとなり、 途中で根負けしそうなので、シノハラの13mmゲージ用フレキシブルレールおよび同8番、6番、 4番Y字ポイントを全面的に採用しました。 このポイントはカーブ側のトングレール部分がやや直線的で、一部ゲージが広い部分がある等、 多少不満がありますが十分使用に耐えます。本線部分は実感を重視して8番または4番Y字ポイント、 側線部は有効長を確保するため6番ポイントを使用しました。 尚、ポイントレールは枕木間がほぼ固定されていますが、 敷設前にレール下で枕木間を繋いでいるプラスティックを何箇所か切断しておくと 敷設時に融通が利き、より自然な線路配置にできる場合があります。 フレキシブルレールは、本線部分はそのまま、また客収線、 入換線等は枕木を10mm間隔くらいになるよう間引いて使用しました。 シノハラの70番用のスパイクを使用してポイントから正確に固定してゆきますが、 後程バラストで固着しますので位置が動かない程度の本数で十分です。 次にポイントとポイントの間を、ギャップ等を考慮しながらフレキシブルレールで 不自然なカーブにならないように注意しながら敷設、スパイクしてゆきます。 フレキシブルレールを使用する際は、枕木同士を繋いでいるレール下のプラスティック部分を 切断しておかないと往々にして枕木が平行にならず、 ハの字・逆ハの字の連続になりがちなので注意が必用です。 尚、路盤をコルクとしたため、強くスパイクするとレールが沈んで波を打ちますので、 力加減には気を付けました。レール間の継ぎ目はシノハラの70番レール用金属ジョイナーを 使い半田で固定しましたが、このジョイナーは何故か水平方向にやや反っているので、 真直ぐに修正してから使用しないと継ぎ目部分のレールが沈んでしまいます。 ギャップ部分は当初はプラスティックの絶縁ジョイナーを使用しましたが、 大きくて目立つので途中からレール間を0.5mmほどの間隔をあけるだけとしました。 また車輌が実物のようなレールの継ぎ目を刻む音を発生させたいと思い、 300mm毎にレール上面にヤスリで切り込みを入れました。線路の敷設が完了したらボギー車、 単車を推進運転も含めて何度もスピードを変えて走らせ、脱線する箇所は徹底的に修正しておきます。 観察したところ左右のレールのねじれ(高さの違い)が脱線の最大の原因になるようです。 バラストの散布や着色については(6)築堤、基盤、道床、線路の製作、で説明します。 尚、実物の片渡り等の手動双動ポイントは両ポイント間がロッドで結ばれていますが、 模型は工作が面倒なので木箱に納められているという想定で角材により表現、 バラスト散布前に設置しました。 このようにバラストの中に埋もれるもの(接触限界票や職員用通路など)は前もって全て着色後、 バラスト散布前に工作しておきます。

2.電気配線・ポイントマシンの取り付け


 線路へのフィーダー配線は、レールの直ぐ脇にボードにコードが通る穴を開け、 そこから出したコードの先端をレールの側面に直接半田付けしました。 そのままでは多少目立ちますが、バラストを撒き着色すると殆ど気になりません。 ポイントマシンは、レイアウトの保管時にボードを重ねるため、 その際に下に来るボード上の突起物の位置を考慮しながらこれを避け、 且つスムーズにマシンが作動する場所を選んで固定しました。 マシンとポイントのトングレールとの接続は、 まずトングレールの先端左右間を結ぶ金具の真ん中に開いている穴から、 垂直に0.8mmの真鍮線で下ろし、ボード裏面に出たところでボードと平行になるよう垂直に曲げ、 ボードの穴の直ぐ脇にボードに固定したパイプの中を通し、 その先をマシンと接続しました。 この方法によりボードの表面には機構部分を全く見せずにポイントを動かすことが可能になりました。 フィーダーおよびポイントマシンへの全ての配線はボードの裏面に整理してスパイクで固定し、 各ボード間の電気接続は、レールはジョイナーで接続、それ以外のフィーダー、 ポイントマシンの配線はボードの裏面端に固定したコネクターでボード結合時に 同時に接続できるようにしました。全ての配線が終わりコントロールボードも完成したら、 ポイントのスムーズな転換の確認は勿論のこと、 側線等も含めて動力車を何度も運転し問題なく動くことを確認するだけでなく、 ポイントやギャップ等でショートが発生していないかチェックしておきます。 この段階で十分遊べるようになるので、ここでレイアウト製作作業がストップしてしまわないよう、 完成へ向けて自らを叱咤激励しました。

3.ホームの製作



 ご存知の通り、ホームの高さは客車用や電車用など、用途や時代により違います。 軽井沢駅も信越線の電化時(アブトの廃止時)にホームがかさ上げされています。 実物の規定を見ますと在来の客車用はレール上面から760mm、電車用は1100mmとなっています。 このレイアウトではホームはボード上に14mmの角材をボンドで接着し、 その上に厚さ2mm、幅4mmの角材を線路側に2mm張出すように貼り、 高さはボード上16mmとなりました。 レール上面はボード上5.6mm(コルク板2mm、枕木1.8mm、レール1.8mm)ですので、 ホームはレール上面からは10.4mmとなります。これは実物換算832mmで、 電車化以前の低いホームの雰囲気を出したつもりです。 線路中心からホームの端までは実物で1560mm(模型換算19.5mm)ですので、 19.5mmとしました。線路を正確に敷設し、車輌をオーバースケールにならない様工作すれば、 車輌がホームに接触する事は有りません。ホーム上面は2mm厚のベニヤで覆い、 ベニヤ上にはコンクリートタイルを表現すべく、 東急ハンズで見つけた5mm間隔で縦横に筋の入った薄いプラスティック板を、 実物を参考に部分的に張りました。線路側ホームの立ち上げ部(14mmの角材部分)は、 アブト時代に第三軌条を支えるステーを設置するために一定間隔で欠取りがありましたので、 角材を彫り込んでこれを表現し、ステーを載せるため枕木を8mm程延長してあります。 なお駅本屋を設置するにはボードの幅が足りないため、 本屋部分のホームは取り外し式とした上本屋と固定、運転時にのみ設置することとしました。
(2005年1月 M.F)