日本鋼管鶴見製鉄造船には怪しい機関車が数多くいるという情報があり撮影に出かけた。工場内に立ち入ることは許可されず、姿を留めているはずのダベンポート製の11号機を見ることはかなわなかった。
ボールドウイン製の9号機(10号機かも)の姿も、守衛氏の目をかすめて塀によじ登り、彼方にそれらしいシルエットを見ただけで、撮影はできなかった。
9号機は、現在は綺麗に復元され、明治村で動態保存されているのは誠に喜ばしい。奇しくも3年後に羽後交通雄勝線で見たハフ11〜13と編成を組んで走ることになるとは、当時は思いもよらなかった。
9号機の近くには蒸機の煙突らしきものが見え、かすかに煙が上がっている。きっとクラウスの12号だ! こいつが外に出てくる可能性がある。
工場内に入れないからには、工場から出てくるのを待つしかない。鶴見線の弁天橋から浅野にかけての間は、日本鋼管の専用線が並行していて、日に何度かここを蒸機が走るらしい。
守衛氏に聞いても、時刻は未定でその日に走るかどうかもわからないと言う。やむなく弁天橋駅のホーム上の待合室で、何時、どちらから来るともわからぬ列車を待つことにする。