廃止線回想(最終回) 湧網線




 湧網線は名寄本線の途中駅・中湧別から網走までの89.8kmの路線で、 車窓からはオホーツク海やサロマ湖、能取湖、網走湖を臨み、 北海道でも屈指の景観を楽しむことができました。
 サロマ湖の水産物の輸送を目的に建設された路線で 1953年(昭和28年)に全通しています。私が訪れた頃は、旅客列車は 全て気動車でしたが、キューロクの貨物が残っていました。 貨物列車は写真で見ると結構長い編成ですのでそこそこの貨物需要があったのでしょう。
 ご多分にもれず赤字線で、国鉄再建法で特定地方交通線に指定され、 JR移管直前の1987年3月19日に廃止されました。


能取湖をバックに奮闘するキューロク
流氷のオホーツク海をバックに

旅客列車は気動車単行
ローカル線としては長い編成の貨物列車

 湧網線には気になる列車が設定されていました。それは、20時47分に 網走を出る中湧別経由遠軽行きの普通列車です。この列車は23時50分に遠軽 に着きますが、なんと遠軽で網走を20時28分に出た石北本線経由札幌行き 夜行急行・大雪6号に追いついてしまいます。推理小説にでも使えそうな列車で 一度試してみたいと思っていましたが、結局、その機会もないまま湧網線は 廃止されてしまいました。(列車の時刻は1971年のものです。)



雪捨て列車
 湧網線でちょっと珍しい列車に遭遇しました。 それは網走駅構内で除雪した雪を網走川に捨てるための列車です。 雪捨ての場所は石北線との分岐点のちょっと先、網走湖から網走川が流れ出るあたりです。 当日の牽引機はデフにJNRマークをつけたC5833でした。湧網線の貨物は キューロクの担当でしたので、C58が入線するのは珍しいのではないでしょうか。 列車が止まるとシャベルを持った作業員が無蓋車から築堤の下に向かって 雪を投げ下ろします。 雪捨てが終わると列車はそのまま推進運転で網走へ戻って行きました。
 他線区でこのような列車を見たことはありませんが、広いヤードなどの雪の処理は どうしていたのでしょうか。

キ100を先頭にした雪捨て列車
列車が止まると人海戦術で雪捨て



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